タイトルロゴ 「言葉 〜泥の詩人より」
装飾用画像(東家土蔵 壁)

文筆家でもあり、「左官教室」の編集長でもある、“泥の詩人”小林澄夫氏が、挾土秀平との交流や、手がけた仕事について、左官教室「今月の言葉」に綴ったコラム。

06 歓待の庭

文:小林澄夫 氏

山野草

はいまつの藪の中の岩陰から岩陰へと岩ひばりが舞う。9月の乗鞍のいただき。霧の晴れ間。隙間のない山塊の切り立った三陵のいただきがあらわれては消える。存在の塊というしかないもの、地上一万尺の薄い空気の中、白く霧は流れ、はいまつのしらしらとした根は山塊の斜面を這い、しらしらと骨は流れ、ガレ場の岩くれのむこう、ゆるやかにすり鉢状の草の野のひらけ……。

カムイミンタル
神の庭よ
存在に近く
無償の存在にそんなにも近く
無垢の光に包まれ
岩ひばり
はいまつの緑の中
岩陰から岩陰へと舞う

そんな乗鞍の白い稜線のみえる飛騨丹生川村下保の谷間に友の歓待の庭はある。歓待の庭は生成途上である。自然の庭には友の手で飛騨の山野草と樹が集められつつある。

アケボノソウ、アツモリソウ、イカリソウ、イチリンソウ、イワカガミ、イワナシ、ウツボグサ、ウメバチソウ、ウラシマソウ、エビネ、オオジンバリ、オオタチツボスミレ、オククルマムグラ、オダマキ、カタクリ、カタバミ、カニコウモリ、キキョウ、キバナイカリソウ、ギョウジャニンニク、ギンリョウソウ、クマガイソウ、クルマバソウ、クロマメノキ、コケイラン、コケモモ、ゴゼンタチバナ、コマクサ、ササユリ、シュンラン、ショウキラン、ショウジョウバカマ、シライトソウ、シラタマノキ、スズラン、ダイモンジソウ、タチツボスミレ、チゴユリ、ツバメオモト、トクワカソウ、ナツエビネ、ナルコユリ、ニッコウキスゲ、ニリンソウ、ネコノメソウ、ノビネチドリ、ハルリンドウ、ヒトリシズカ、ホオズキ、ホタルブクロ、ホトトギス、ミイヤマカタバミ、ミヤマカラマツ、ヤグルマソウ、ヤブレガサ、ユウスゲ、ユキザサ、ラショウモンカズラ、リンドウ、ルリソウ、ワサビ……等野草93種。

エゴノキ、エンジュ、オオウラジロノキ、カツラ、キハダ、クヌギ、クリ、クロマメノキ、クロモジ、コアジサイ、コシアブラ、コナラ、コバノフユイチゴ、サルナシ、ワタフタギ、サンショウ、シャクナゲ、ズミ、ソヨゴ、ダケカンバ、タムシバ、ツリバナ、トチノキ、ドロノキ、ネジキ、ネムノキ、ノリウツギ、ハリギリ、ヒメウスノキ、フジ、ホウノキ、マユミ、ミツバアケビ、ミツバツツジ、ヤマウルシ、ヤマザクラ、ヤマツツジ、ヤマナシ、ヤマブドウ、ヤマボウシ、レンゲツツジ……樹木類42種。

以上が歓待の庭に自生し、あるいは友の手で植えられた飛騨の植物である。友の歓待の庭のこれらの植物の名を声にし、記すことのよろこび……マユミ、ドロノキ、コナラ、クヌギ、ヤマナシ……。それら無償の草木のゆえに友の庭は歓待の庭となる。飛騨の土と水がこのよに多種多様な植物を生み育てるように左官も土と水を持ってささやかでそれでいて多様な風景を生み出さなければならないと友は言う。その言やよし。

■07 イチイの樹の下で へつづく■

赤い線

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