草の上に寝転がって仰向けに、
息を切らして笑い
流れる雲を追っていた。
グラウンドで転ぶと、砂に顔をあてて
跳ねる靴音。
地表の起伏。
激しい雨では
胸を高鳴らせ全身で外をかけ抜けた
あのころ、
何を感じていたのだろう
・・・ふっと少し、匂いだけが蘇る
明かりを消して見る、まばたきの白さ
そのまばたきの中にも
あの頃の匂いが通りすぎているのに。
・・・夢のなかで、
そのはしゃいでいる自分から
夢の話を聞きだせたなら・・・
ガレキに上がる月は哀しく美しい
無意識に手をあわせている少女の黒い眼
畑と星をむすぼうとしている白い花
空は繋がっているのだと叫んでいる手紙
すべては、澄んだ澄んだ暗がりの向こうを見ている
もどることも、すすむこともできない今
もっと激しく疲れなければだめなのか
もっと醜い物を見なければだめなのか
もどることも、すすむこともできない今
鎮まることなく強くなる、手の平の熱。
動けず、といって休めない身体は、
疲れと力が熱となって
この手から抜けて、こぼれてしまう。
醜いカゲロウを帯びた手・・・・
まだ固い蕾、
目の前の虚空の清らかさを
生ぬるく汚してしまう、
この陽炎の手が、自分には重苦しい。