林のなかを歩いている
同じ道の、
同じ岩をめぐり
同じ樹のあいだを抜けて
毎日をすりこむように
歩いている
あとは、
降りそそいでいる
自分に聴こえる声を選び
身体から湧きでるままに従い
うつろいに従い
踏みしめられた動脈の道と
苔むした静脈の道が林にめぐる
嫌なものを嫌という、
それと、綺麗なものを見ていたい
想像をつめたいつかの種と
いつかの土を耕していたい
そうして
影のような輪郭で
火のまえに座り
語られるほとんどを捨てながら
語りかける者の姿を陽炎にして
煙のようにゆれているのである。